タクシードライバーだからこそできるプチ観光案内

私が働いている愛知県名古屋市では、駅の前にたくさんのタクシーが停まっています。観光目的や、ビジネスで訪れる人の多い名古屋では、滞在先の宿泊施設や観光地、出張先に向かうまで、タクシーを利用する方も多くいるためです。タクシードライバーをしていると、そうした遠方からお越しのお客様を乗せて走ることも少なくありません。

その目的はさまざまですが、愛知県に対して興味を持っている方も多くいます。とくに観光を目的に来たお客様からは、うきうきとした気分が伝わってきて、こちらも楽より良いサービスをしたい、とやる気が出るものです。

お客様の中にはドライバーにも気軽に声をかけてくれる方もいて、ランチや夕食におすすめのお店や、観光地についてのご質問を頂くことがあります。そういった質問にきちんとお答えし、より名古屋での旅を楽しんで頂けるように、常に私も人気のあるお店の情報や、有名な観光地に関する豆知識などをチェックしておくようにしています。日々、市内を走り回っているからこそ、名古屋の地理や隠れた名店などの情報をご提供できることもあります。そうしたお客様との会話も仕事の楽しさの一つです。

奇跡の再開

以前に名古屋市内でタクシー業務を行っていた際、こんなことがありました。昼に送迎をしたお客様に、夜になって偶然再会し、再度送迎を行ったのです。

1度目の送迎の際には、観光を目的に愛知県まで来た、というお話を聞き、有名な観光地をご案内したお客様でした。それから1日、私がご紹介した観光地も含め、愛知県を観光して回ったとのことでした。

夜にもう一度、タクシーにご乗車頂いた時には、紹介した観光地がとても良かった、あなたに送迎してもらえて良かった、とうれしい言葉を頂きました。これからディナーをしにいくとのことだったので、またおすすめのレストランをご紹介したところ、非常に喜んで頂けました。

多くのタクシーが走っている名古屋市では、一度であったお客様と再会できることはめったにありません。そんな中で、偶然にも再開し、また自分のご案内に対するフィードバックが頂ける機会に恵まれたことは、非常に貴重な経験でした。

こうした巡り合わせのようなものがあることも、タクシードライバーという仕事の面白い部分でもあるのです。もちろん、お客様の中には、今回のように明るい気分のお客様もいれば、怒っている方や悲しい気持ちの方もいます。どんなお客様であっても、一期一会の出会いを大切にし、少しでもタクシーに乗っている時間を有意義なものにしてもらえるようにサービスをしたいと思っています。

地元の魅力を再発見

タクシードライバーをしていると、自然とその土地についての見識が増えてきます。私の地元は愛知県名古屋市ですが、タクシードライバーを始めてから、名古屋の魅力を再発見する機会が多くありました。

例えば、名古屋市に2018年にオープンした大型飲食施設『金シャチ横丁』では、居酒屋がたくさん出店しているため、タクシーの出番が必然的に増えます。タクシードライバーにとって、こうした最新の観光地や施設の情報は非常に大切であり、自然と覚えていくものです。

また、名古屋の観光地といえば『名古屋城』です。名古屋に初めて来たという方の多くが、名古屋城を訪れます。そのため、タクシードライバーは、必然的に名古屋城へ向かうルートや観光地情報に詳しくなります。

このように、仕事をする中で、いままで興味をもっていなかった地元についての知識が増えていきます。お客様に、より名古屋の魅力を知ってほしい、楽しい一日を過ごしてほしいと願ううちに、お客様だけでなく、自分自身もその魅力に気づかされるのです。

愛知県には、そのほかにも名古屋港水族館や、織田信長の叔父が建てたとされる国宝犬山城などの歴史的な建築物も多くあるので、非常に見応えがあります。こうした地元の良さを、他県の方にもPRできるお仕事がタクシードライバーというお仕事です。皆さんも是非、タクシードライバーになって、地元の魅力を再発見し、多くのお客様に喜んでもらえる仕事を始めませんか?